津波島

 津波島(つばじま)は、上島町岩城島(いわぎしま)の南約1.8kmにある面積約0.45k㎡、周囲約約5kmのとてもきれいな島です。

■昔の津波島
 昔の津波島の様子について、お母さんが津波島出身だという宮脇馨(みやわき・かおる)さんにお話を聞きました。宮脇さんご自身も、子どもの時に津波島によく行っていたそうです。
(写真:宮脇 磬さん)

 津波島は、今は無人島ですが、縄文時代の石器などが発見されており、縄文時代から人が住んでいたと考えられています。

 津波島は、小さく細長い形のため、水がたまりにくい地形です。そのため、畑を作るのには向いていません。しかし、津波島のまわりは、魚が集まる場所だったため、住む人は少なくても、色々な所から人が来て魚を採る場所だったのではないかと考えられるそうです。春には、タイが産卵をするために来るそうです。また、水深が深いところがあり、魚が集まりやすい地形になっています。津波島には、えびすさまをまつっている神社がありました。えびすさまは、大漁祈願(たいりょうきがん/魚がたくさんとれますようにと願うこと)の神様です。このことからも、津波島が大切な漁場(ぎょじょう/魚をとる場所)であったことが考えられます。
 
 宮脇さんが子どものころ(昭和20〜30年代)には、20〜30人ぐらいの人が住んでいたそうです。岩城から畑をするために通っていた人もいたそうです。昭和40年くらいには無人島になりました。

 宮脇さんが子どものころには、津波島には、電気も水道もガスもありませんでした。水は、谷水を使っていました。火は、山からまきを取ってきて火をおこしていました。

 当時のごはんは、麦めしやかんころ飯(干したサツマイモと米をいっしょにたいたもの)やさつまいも、じゃがいもなどが多かったそうです。田んぼは少なく、お米は貴重だったので、きびやあわなどの雑穀(ざっこく)も食べていました。海からは魚、山からはわらびやふきなどの山菜を手に入れていたそうです。

 津波島に住んでいた子どもは、岩城島の学校に行っていました。船がなく通うのは大変なので、岩城に家を借りて平日は学校に生き、土日に津波島に帰っていました。その時の子どもの遊びは、魚つり、素もぐり、山菜採りなどで、遊びと家のお手伝いを同時にしていたそうです。

 宮脇さんに津波島の好きなところを聞くと、サザエやタコ、魚などがたくさんいたことだと教えてくれました。おばあちゃんと行って、昼まではおばあちゃんの手伝い、昼からは海で遊んでいいということになっていたそうです。岩場で、サザエやタコ、魚などがを採るのが楽しかったそうです。

 宮脇さんに昔と今の津波島のちがいを聞いたところ、「昔は、電気・ガス・水道不便だったけれど人が住んでいた。今は、電気・ガス・水道もあって便利になったけれど、人が住まなくなった」とおっしゃっていました。それを聞いて、私は、電気やガス、水道などがなくても、津波島に住んでいた人はすごいと思いました。
 
■不思議な「トントン島」
 津波島の近くにとても小さな島があります。その島の名前は、鵜ノ糞島(うのくそじま)といいます。その島の真ん中は空どうになっていて、そこでジャンプすると「トントン」という音がなるそうです。そのため、別名で「トントン島」と言われています。

■今の津波島
 津波島は、昭和63年にキャンプ場が整備されました。ここには、たくさんの有名人が来ています。バイキングの西村瑞樹(にしむら・みずき)さん、宮川大輔(みやがわ・だいすけ)さん、つりのプロ、ポッキンさんなどです。きれいなビーチの他、キャンプ場やレストハウスがあり、海水浴や魚つりはもちろんのこと、ドラム缶風呂(ドラムかんぶろ)や石がま料理を楽しむこともできます。

 現在、キャンプ場の管理をしているのは、岩城島で民宿「よし正」を経営している砂川光洋(すながわ・みつひろ)さんです。岩城島で育った砂川さんは、津波島にも小さいころの思い出があるそうです。いつしか管理する人がいなくなってしまった津波島の様子を残念に思い、島の管理を引き受けるようになったそうです。津波島へは、岩城島からよし正の船かチャーター便で行くことができます。

 砂川さんに津波島への願いを聞くと、「みなさんに津波島という島を知ってほしい。そして、自然を残しつつ、キャンプ場として利用してほしい」と教えてくださいました。
(写真:砂川 光洋さん)

 私は、津波島について調べ、津波島はとても素敵な島ということがわかりました。自然が豊かで魚がたくさんいたり、私の知っている有名人が来ていたりするからです。また津波島に行って、いろんなことを見たりしてみたいです。みんなに津波島という島の良いところを知ってほしいです。

【取材協力】
宮脇 磬(みやわき・かおる)さん(岩城島出身)
民宿「よし正」砂川 光洋(すながわ・みつひろ)さん(岩城島出身)
※クリックすると、「よし正」のホームページが開きます。

【参考文献】
岩城村『岩城村誌 下巻 現代編』1986年(昭和61年)

【調査・文章・写真】
2018年度岩城小学校6年生
2021年度岩城小学校6年生

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