青いレモン
■レモンの色は何色?
岩城島は、「青いレモンの島®」をキャッチコピーに、レモンの栽培(さいばい)に力を入れてきた島です。青いレモンとは、秋から12月の間に緑色の状態で収かくされるレモンのことです。青いレモンという品種があるわけではありません。今では、他の地域でも緑色のレモンを出荷するようになりましたが、緑色のレモンを「青いレモン」と名付け商品化したのは、岩城がさきがけ(始まり)です。
当時、スーパーなどで売られているレモンの多くは外国産のものでした。外国産のレモンも、収かくしたばかりの時は緑色をしていますが、船で日本へ運ぶ2〜3ヶ月の間に、黄色になります。そのため、一般的(いっぱんてき)には、レモンは黄色いものと思われていました。しかし本来、秋から12月の間に収かくされるレモンは、熟していても緑色をしているのです。
■岩城島が「青いレモンの島®」になるまで
脇義富(わき・よしとみ)さんは、青いレモンを「収かくしたての新鮮(しんせん)な国産レモンの証」としてPRし、販売(はんばい)し始めた方です。脇さんは、1971年(昭和46年)に愛媛県果樹試験場の職員として岩城島にやって来て、レモンの栽培について研究し始めました。新鮮な国産レモンを世に広めたいとの思いで研究を重ね、レモンの育て方を農家さんに教えたり、青いレモンのおいしさを伝えたりされてきました。脇さんのおかげで、岩城島にレモン栽培が広がりました。脇さんは、青いレモンの生みの親です。
脇さんが、岩城でレモンを作り始めたきっかけは、岩城の気候がレモンを作るのに合っていたからだそうです。冬は温かく、雨があまり降らないという瀬戸内(せとうち)の気候が、レモンの栽培が盛んなイタリア(地中海)の気候に似ていることに注目したそうです。それ以前にも、明治時代からレモンの栽培は行われていましたが、1964年(昭和39年)レモンの輸入自由化でレモンの値段が下がり、栽培されなくなっていました。そんなレモンの栽培を復活させようと、脇さんは研究に取り組みました。ヨーロッパやアメリカからレモンを取り寄せ、岩城に合うものを選んだそうです。そして、「アレンユーレカ」という品種にたどり着きました。とげが少なく(レモンの木にはとげがある)、木が小さい時から実がなるのが特ちょうです。
また、脇さんは日本で初めてレモンのハウス栽培に成功した方でもあります。最初は、5件の農家がハウスを建てて、ハウス栽培を始めたそうです。1984年に、ほしい人にレモンの苗木(なえぎ)を配り、レモン栽培は岩城全体に広まっていきました。
(写真:レモンの花)
【取材協力】
脇 義富(わき・よしとみ)さん(1947年生まれ、香川県丸亀市出身)
【調査・文章】
2018年度岩城小学校6年生