秋祭りの練習(弓削)

■弓削島、佐島の秋祭り
 弓削島・佐島では、弓削島の久司浦(くじうら)、上弓削、引野(ひきの)・明神(みょうじん)(※1)、下弓削、土生(はぶ)の5地区と佐島、合計6つの場所で祭りが開さいされます。10月は、毎週どこかの地区で祭りが行われるので、「祭り月」と呼んでいます。祭りの前になると、各地区で練習が行われます。ここでは、下弓削地区、上弓削地区、引野・明神地区の祭りの練習についてしょうかいします。

■参加する子どもたち
 練習に取り組んでいるのは、下弓削地区では小学校3年生から中学校3年生まで、上弓削地区では小学校1年生から中学校3年生までの子どもたちです。毎年20人から30人が参加しています。引野・明神地区では、小学校5年生から中学3年生までの子どもたちが参加します。毎年5人から10人くらいが参加しています。子どもたちは、下弓削地区は弓削神社や天神原(てんじんばら)、上弓削地区はおどり場、引野・明神地区は地区の集会所に、夜7時~7時半ごろに集まって練習をします。
(写真:祭りの練習)

■指導する大人たち
 どの地区でも、指導してくださるのは地区の大人たちです。だれが教えるのかは、事前に話し合って決めるそうです。

 下弓削地区では、上村航さんたち、20代から50代の5、6人の大人たちが小だんじりの上に乗ってたたく太この指導をしてくださいます。北舛健幸さんたち、20代から40代の8人の大人たちが、奴(やっこ)の指導をしてくださいます。

 上弓削地区では、青木英和さんと経験者たち、20代から50代の10人ほどの大人たちがししまいを指導してくださいます。その他に、20代から50代の5人ほどの大人たちが、だんじりの上に乗ってたたく太この指導してくださいます。

 引野・明神地区では、その年の当屋番(準備など、お祭りのお世話の中心となる人)の人を中心に、30代から60代の有志の大人たちがだんじりの上に乗ってたたく太こを指導してくださいます。

■練習道具と練習時間
 太こをたたく練習をする時に使う道具は、地区によって少しちがいます。下弓削地区では、タイヤとばちを使い、組に分かれて練習をします。上弓削地区では、太この代わりにならべた木と木をそのまま切った「ぶち(※2)」を使います。屋外の広場で練習するので、下にござをしきます。引野・明神地区では、タイヤとばちを使います。どの地区も、最初はタイヤで練習を始めて、歌を少しずつ覚えていき、なれたら本番と同じように太こを使って練習する場合が多いようです。

 下弓削地区で行われる奴では、かけ声の練習、歩いて行くとちゅうで道具を投げて交かんする受けわたしの練習、歩く練習をします。奴は、みこしの中にいる神様がその地域にできるだけ長くいるように、みこしの前をゆっくりと歩いて行くそうです。特別なふりつけで歩いていかないといけないので、練習も大変です。

 各地区の練習時間は約1時間から1時間半です。どの地区も、毎年祭りをよくするために、土日以外は毎日練習に取り組んでいます。下弓削地区と上弓削地区では1ヶ月ほど前から練習が始まります。引野・明神地区は5日ほど前からです。

 上弓削地区では、太こをたたくことができるのは、中学3年生までです。最上級生の中学3年生が中心となって、祭り当日に間に合うようにだんじりの金の部分や太こをみがいて準備をします。

■指導する大人たちの思い
 小だんじり、奴、ししまいを教えている方々に、教えていてどんな時がうれしいか、インタビューをしました。小だんじりを教えている上村航さんは、みんなが本番で楽しそうにしている時がうれしいそうです。ししまいを教えている青木英和さんは、子どもがちゃんとできるようになったことがうれしいそうです。奴を教えている北舛健幸さんは、本番で奴行列がうまくできた時がうれしいそうです。

 このように、各地で祭りをよくするために練習していることや、祭りを盛り上げるために協力している人が大勢いることが分かりました。

※1 引野・明神地区はとなりあう別の地区ですが、祭りは合同で行います。
※2 太こをたたく道具、「ばち」のこと。

【取材協力】
青木 英和(あおき・ひでかず)さん(1963年生まれ、弓削島出身)
北舛 健幸(きたます・たけゆき)さん(1979年生まれ、弓削島出身)
上村 航 (うえむら・わたる)さん(1988年生まれ、弓削島出身)

【調査・文章・写真・イラスト】
2020年度弓削小学校6年生

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