岩城のとんど
とんどは、お正月にかざった注連縄(しめなわ)や門松(かどまつ)、松のかれ葉などを集めて燃やし、その年を元気に過ごせますようにと願う伝統行事です。
昔は、1月の大潮(おおしお)の日の朝5時くらいと次の日の夜に行っていました。世話をする若者や子どもたちが、前の日から集会所にとまり、当日の朝早くからたいこを鳴らして「とんどやく、どんど焼くけん早ョおいで、餅(もち)の影(かげ)も今朝ばかり」と大声で地域の人に知らせていたそうです。
今は、1月の第2土曜日の夕方から行います(西部地区の場合)。始まる1時間くらい前に、小学生が車の上でたいことかねを鳴らして「とーんどたく、とーんどたく、今たくぞ」と言って地域の人に知らせます。来てくれた人には、「お神酒(みき)をどうぞ」と低学年の子がふるまいます。次の日には、神様にかざる御幣(ごへい)を1けん1けんの家に配ります。どんどか終わると、子どもたちは「給料」がもらえます。とんどの次の日に、中学生が小学生に分けます。ぼくも参加してきましたが、大変なこともあるけど楽しくて、勉強になったこともたくさんありました。
昔は、鏡もちをあぶっていたそうですが、今は、あぶる人もいるし、あぶらない人もいます。書き初めを燃やして、高くまい上がると字が上手になるといわれてきたそうです。また、とんどで燃やした灰は、病気にかからないという言い伝えがありました。だから、持ち帰る人が多かったそうです。また、灰を顔にぬりつけるおまじないもあったそうです。とんどに参加する人は、昔の方がずっと多かったそうです。
調べてみて、今と昔にちがいがあることが分かりました。
(写真:とんどの様子)
【取材協力】
森本 和子(もりもと・かずこ)さん(岩城出身)
【参考文献】
岩城村『岩城村誌 下巻 現代編』1986年(昭和61年)
【調査・文章・写真】
2020年度岩城小学校6年生