弓削手まり
■弓削手まりとは
手まりは、平安時代からあった、1000年以上の歴史を持つ日本の伝統工芸(でんとうこうげい)品の1つです。
弓削島の手まりは、12月のはじめごろに行われる、亡くなった方が初めてむかえるお正月である「巳午(みうま)」という行事でかざられてきた物です。亡くなった大切な人のために、島の女性たちは手まりを作っていました。また、自分で作れない場合は、手まりづくりが得意(とくい)な人にたのんで代わりに作ってもらい、お礼に野菜などをわたすこともあったようです。
このように弓削島で作られていた手まりを、1986年ごろに「弓削手まり」と名付け、グループで手まり作りを始めたのが、濱長子(はま・ながこ)さん(79)です。濱さんは、島の人たちと手まりを作りながら、直売所やイベントでのはん売も始めました。
濱さんが手まり作りを習い始めたころ、くわしく作り方を教えてくれる人がいなかったそうで、いろいろ苦労しながらデザインを学んだそうです。
■手まりの模様や大きさ
手まりには、球のまわりが8cm、34cm、50cm、66cmなどと色々な大きさの物があります。どの手まりも、芯(しん)になる球に、最初は毛糸、その上に糸を巻き、針で糸をさして模様をししゅうしていきます。
模様は、菊(きく)や朝顔、ひまわりなどの花、ちょうちょやトンボ、フクロウなどの生き物、花火などたくさんの種類があります。さらに、ししゅうに使う糸の色の組み合わせによって様々なものができます。
(写真:様々な模様の手まり)
(写真:ふくろうの手まり)
■弓削手まりの体験
私は、取材の時に弓削手まりの工房(こうぼう)で手まり作りを体験させてもらい、星のししゅうがある小さな手まりを作りました。細かい作業を何度もくり返して、色や模様などを変えて作りました。
濱さんが「作りたいという思いと根気が大切だよ」、「色を選ぶのがとても重要だよ」とていねいに教えてくれ、「上手上手」とほめてくれ、とてもうれしかったです。
何時間もかけてついに完成した弓削手まりはとてもきれいで、がんばってよかったなと思いました。
(写真:弓削手まり体験の様子)
■弓削手まりの現在の活動
弓削手まりは、弓削港の近くのせとうち交流館にかざられています。とてもきれいでいやされます。また、手まりづくり体験教室は、弓削手まりの工房の他、上弓削地区の高齢者介護サービス施設「ふくふくの会」でも月一度行われ、20代~50代の職員の方や中高生も参加しているそうです。ぜひ体験してみてください。
※年れいは2021年3月末時点のものです。
【取材協力】
濱 長子(はま・ながこ)さん(1942年生まれ、弓削島出身)
【調査・文章・写真】
2021年度弓削小学校6年生