弓削塩

「古くて新しい塩づくり~弓削塩~」


(写真:弓削塩の結しょう)

 弓削島(ゆげしま)は、平安時代末期から塩を年貢(ねんぐ)としておさめていた歴史があり、「塩のしょう園」として知られています。鎌倉時代には、京都・東寺のしょう園になり、世界記憶遺産(せかいきおくいさん)の「東寺百合文書」(※1)には、弓削島荘(ゆげしましょう)に関する記録が残っています。また、となりの佐島(さしま)にある宮ノ浦遺跡(みやんないせき)では、古墳時代や中世の塩づくりのあとが発見され、2011年(平成23年)から愛媛大学と上島町が発くつ調査を行っています。そんな塩の歴史を伝えていきたいと、一度とだえてしまった塩づくりをふっ活させたのが、「NPO法人 弓削の荘(ゆげのしょう)」のみなさんです。

 古代の塩の作り方は、海そうを燃やして、その灰を海水でこし、塩分のう度の高い海水をつくって、につめる方法でした。しかし、それでは海そうを使いすぎて、かん境に良くないので、現在、弓削の荘では少しちがうやり方をしています。

 弓削の荘の塩の作り方を説明します。まず、工ぼう前の海から、塩分のう度3%の海水を4トンくみあげ、まきでたきます。やがて、塩分のう度が20%以上の「かん水」になります。さらにたき続けると、かまの中に、塩が結しょうし、かまの底にたまります。そうしてたまった塩を木のたるに移し、水分をぬきます。かんそう機で乾そうさせ、ふるいにかけて完成です。約2週間かかって、60キロのき重な塩が作られます。

 塩づくりの様子を見学させていただき、一番おどろいたことは、ピラミッド型の結しょうがあることです。ピラミッド型の結しょうは、大きいもので2.5センチメートルくらいありました。とてもきれいなので、ほしい人は多いそうですが、作るのがむずかしいので、売り物にはしていないそうです。現在、はん売されている塩の種類は、5種類あります。白塩、あまも塩、ひじき塩、紅塩、こぶみかん塩です。

 弓削の荘の塩づくりは、すべて手作業で行われています。毎日、まきでたいています。まきに使う木を集めて、チェーンソーで切ったりもします。まきは、地いきの人からはい材(いらない木)をもらうなど、かん境に良い塩づくりを目指しています。

 すべて手作業で行う塩づくりは、時間と手間がかかりますが、お金もうけのためではなく、塩づくりの文化を残したいという気持ちでされているそうです。また、じっくりとかまでたく塩は、ミネラルが豊富でまろやかで美味しいと大人気です。何よりうれしいことは、「ここの塩はおいしいね」と言ってくれることだそうです。弓削塩は、上島町のおみやげやさんの他、インターネットでも買うことができます。手塩にかけて作られた塩です。ぜひ食べてみてください。

※1 京都の東寺に伝えられた日本中世の古文書。

【取材協力】
NPO法人 弓削の荘の代表理事
村上知貴(むらかみ・ともき)さん

【調査・文章】
2017年度弓削小学校6年生

関連記事