佐島の郷土料理:イギス豆ふ

イギス豆ふは、イギスという海そうを使って作る瀬戸内海(せとないかい)の郷土料理(きょうどりょうり)です。

材料は、イギス、大豆粉(だいずこ)、だしじる(イリコもしくはこんぶ)です。イギスとは、上島町周辺の島で、夏にとれる海そうです。昔は、夏にとったものをかんそうさせて、保ぞんし、一年中使えるようにしていたそうです。大豆粉がない場合は、米ぬかを使うこともあったそうです。

イギス豆ふの作り方は、まず、イギスをきれいにあらうことから始まります。イギスは糸のように細い海そうで、ゴミや石、他の海そうが混じっていることがあります。そのため、海でとってきたイギスは、何回もあらってきれいにしなければなりません。イギスの準備ができたら、だしじるに大豆粉をしっかりといて、イギスを入れて火にかけます。バットに入れて、冷やし固めると完成です。温度にもよりますが、20分くらいで固まります。

分量は、イギス40gの場合、大豆粉200g、だしじる1200〜2000ccです。これでバット2つ分くらいできます。それぞれの家によって、だしじるを入れる分量がちがいます。

作る時のコツは、火にかける前に、だしじるに大豆粉をしっかりとくことです。大豆粉をきれいに混ぜないと、完成した時にだまになってしまいます。また、だしじるは必ず冷えたものを使います。温かいだしじるに大豆粉を入れてしまうととけにくく、だまになります。また、火にかけている間は、休むことなく、はしで混ぜ続けます。大豆粉は重いため、ずっと混ぜていないと、しずんでこげてしまいます。

昔は、イギスそのものには味をつけないで、すみそをつけて食べることが多かったそうです。今では、えび、ニラ、きのこなどの具を入れたり、しっかり味つけをしたり、家によってちがいがあります。子どもの好ききらいがなくなるようにと、子どもが苦手な野菜を細かくきざんで入れることもあったそうです。より食べやすいようにそれぞれの家で工夫されています。

今回、イギス豆ふを作ってくださった奥河文子(おくがわ・ふみこ)さん(91歳)は、親が作っているのを見て、作り方を覚えたそうです。

イギス豆ふは、大豆粉が入っているので栄養がとれます。また、昔はイギスがよくとれ、保存しておけたので、いつでも作ることができ、よく作られていたそうです。一度にたくさん作って、近所の人に配ったりもしていたそうです。特に、祭りやお正月、法事(ほうじ)などみんなが集まる時に作ったそうです。今は、昔ほどイギスがとれなくなってしまい、イギス豆ふを作ることも少なくなっています。


(イラスト:じょうれんという道具)

※年れいは2019年3月末時点のものです。

【取材協力】
奥河文子(おくがわ・ふみこ)さん(1927年生まれ・佐島出身)
ちゅうりっぷぐる〜ぷ代表 小澤ヨシ子(おざわ・よしこ)さん

【調査・文章・写真・イラスト】
2018年度弓削小学校6年生

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