佐島の郷土料理:ちまき
ちまきは、米粉、または麦粉を使って作った団子をいろいろな種類の葉でまいたおやつです。佐島(さしま)では、葉は、しばどんぐり、アカメガシワ、カヤの葉を使います。昔は、家で米を石うすなどででひいて米粉(こめこ)を作り、葉は家の近くで採ってきていたそうです。
(写真:ちまき)
作り方を説明します。まず、団子を作ります。粉と水を混ぜて、耳たぶくらいの固さになるまでこねます。そして、たわらがた(円柱型)にして、まず、シバドングリの葉で包みます。シバドングリの葉は、固くて表面がつるつるしています。固いシバドングリの葉には、団子がくっつくのを防ぐ働きがあるそうです。
次に、その上からアカメガシワの葉で包みます。アカメガシワは、葉脈が赤色をした手の平よりも大きな葉です。蒸すときに中に水が入らないようにする働きがあるそうです。
最後に、カヤの葉で包んで形を細長くします。そして、ワラ(手に入らない場合は、シュロなど)で葉が取れないにしっかりまいて結びます。結び方は複雑で、外れにくく、しかも、外す時には簡単にほどけるようになっています。昔の人のちえだそうです。
(写真:ちまきの包み方)
ちまきは主に、5月の節句に食べたそうです。男の子の成長を願い、祝うための食べ物なのです。一年に一度のものだし、昔はきょうだいが多かったので、一度にたくさん作っていたそうです。そして、冷蔵庫がなかったので、すずしいのき下にぶら下げて保存したそうです。
ちまきの作り方を教えてくれた根岸登美香(ねぎし・とみか)さん(90歳)は、麦粉で作ったちまきよりも、米粉で作ったちまきの方が好きだったと言っていました。雨が少ない弓削島では、麦が多くさいばいされ、ふだんは麦をよく食べていて、米はきちょうなものでした。あまくねばりのある米のちまきの方が、子どもには人気だったそうです。学校から帰ると、おやつ代わりに食べたそうです。
※年れいは、2019年3月末時点のものです。
【取材協力】
根岸 登美香(ねぎし・とみか)さん(1929年生まれ、佐島出身)
ちゅうりっぷぐる〜ぷ代表 小澤ヨシ子(おざわ・よしこ)さん
【調査・文章・写真・イラスト】
2018年度弓削小学校6年生