魚島の民話「エンコ棒」

 魚島には、エンコ(海のようかい)についての言い伝えがあります。ここでは、「エンコ棒」のお話をイラストでしょうかいします。

■えんこ棒
(出典:魚島村誌 ※一部、ひらがなに変こう ※一部省略)

 むかし、「戎鼻(えびすばな)」と「だいかん鼻」に六角棒が立っとった。

 夏の海水浴(かいすいよく)の季節になると、毎年のようにエンコが陸に近づいてきてな、泳いどる人間のおしりにスーとその手をさしこみ、その人の腹わたやベロ(舌)をひきぬいてしもうたそうじゃ。なんせ姿の見えん海のようかいじゃから、しまつが悪い(困ってしまう)。

 そこの、この二か所におはらいをしてエンコよけの棒「エンコ棒(ぼう)」を立てて、ここから先はエンコが地に近づけんようにするための目じるしにした。すると、それからはエンコが人間を引いていくということはなくなったそうじゃ。

 しかし、そいでも一年に一日だけは泳いではならん日があった。旧(旧れき:むかしのこよみ)の7月8日、つまりたなばたのあくる日(次の日)じゃ。この日はエンコが浜近くまできて泳ぎまわる。相手は人間の目に見えんやつじゃから、「君子危うきに・・・」(危険なところには近寄らない方がいい)といことで、この日だけは海へはいってはならんということになっとった。

【参考文献】
魚島村『魚島村誌合冊版』2007年(平成19年)

【調査・文章・イラスト】
2019年度魚島小学校4年生

関連記事