弓削島の「のり」
のりは、弓削島の特産品です。愛媛県では生産高トップをほこっています。その年一番初めに取れるのりは特に味がよく、全国に流通されます。
■のり料理
まず、のりを使った料理についてしょうかいします。私の家では、のりのスープや生のりの天ぷら、生のりのつくだに、すのものが出されます。すのものには、ポンズを使うとおいしいです。この生のりは、新しいのりがとれる12月ごろしか手に入りません。
弓削島にある弓削小学校の給食でも、のりを使ったメニューがあります。主に出されているものは、いそかあえ、味付けのり、かきあげ、すのもの、つくだにです。
【いそかあえの作り方】
材料:ほうれん草、もやし、人参、味付けのり、しょうゆ
作り方:野菜をゆでて食べやすい大きさに切り、調味料と小さくちぎった味付けのりを混ぜます。
【すのものの作り方】
材料:生のり、人参、大根、きゅうり、こめず、しょうゆ、さとう、塩
作り方:野菜を千切りにして、調味料と生のりをまぜます。コツは、水っぽくならないように、すを多めに入れることです。ちなみに給食では、生のりも野菜も一度加熱してから冷まして使っています。
■のりの養しょく
弓削島の「のり」は、海上で養しょくされます。弓削島では昭和30年代の後半からのりの養しょくが始められました。現在、島内では4けんがのりを養しょくしています。
■養しょくのじゅんび
養しょくの作業を始める準備として、8月ごろに網(あみ)を染めます。染める理由は、(1)のりの種(※)が網に付きやすくするため、(2)種に栄養が行きわたりやすくするため、(3)のりの網は5年ほどで傷んでしまうため、色分けすることでいつ作ったものなのか管理しきちんと交換するため、(4)のりがしっかり種に付いているかどうかを、顕微鏡(けんびきょう)で見えやすくするため、の4つがあります。
網には、水色、緑、青、赤、むらさきの6色があります。年によって色を変えているそうです。以前はオレンジと白もあったそうですが、それらの色では、のりの種が付いているか、顕微鏡で見えづらかったので、この6色になったそうです。
(写真:染めた「のり網」をかわかしているところ)
(写真:色々な色の「のり網」)
■のりの種つけ
10月ごろに、のりの種を網につける「種付け」という作業をします。まず、陸に置いた水そうにカキがらに付着したのりの種をしずめて、その上に網をつけた水車を設置します。
(写真:水車)
水車を回すと、のりの種が網に付きます。この時、水温が22度以下でないとうまく種が付かないそうです。網にしっかり種が付いているかどうかは、顕微鏡で確認します。種付けには短くて1週間、天気が悪いと種が付きづらいため、2週間ほどかかります。のりの養しょくは、水温や天気に左右されます。この後、のりの網はマイナス25度で冷凍(れいとう)します。冷凍した方が、のりに刺激(しげき)があたえられ、元気に育つそうです。
(図:のりの成長 提供:上島町教育委員会)
(図:のりの種付け 提供:上島町教育委員会)
■網の設置からかり取りまで
11月の初めごろ、網を海の上にうかべます。網を設置する船は約19メートル、のり網の長さは約22メートルあります。
11月の終わりごろ、ちょうどよい長さまでのびたら、かり取ります。毎年、11月の終わりごろになります。1日100枚、4人ほどでかり取ります。その後は15日ごとにかるそうです。のりの状態にもよりますが、長くて3月ごろまでかり取ることができます。
■のりの加工
かり取った生のりは、大きいタンクに入れ、よく洗い、塩分をとり、水を入れ、規定の大きさにして、機械でかわかします。かわいたのりを機械で選別し、穴のあいたものや、破れたものを取り除き、100枚の束にし、箱につめます。
このように、のりの養しょくをしている人たちが、のりを弓削島の名産として有名にするためにがんばっていることがわかりました。私たちは、ほかの県の人にも弓削島ののりのおいしさを伝えたいです。
※ここでは小学生のみなさんに分かりやすいように、のりの「種」と表していますが、正確には「胞子(ほうし)」というもので繁殖(はんしょく)します(中学で勉強します)。
【取材協力】
愛媛県漁業協同組合弓削支所
北濵 大輔(きたはま・だいすけ)さん
上島町立弓削小学校 栄養教諭
バード 理衣(ばーど・りえ)さん
【調査・文章・写真】
2020年度弓削小学校6年生