たいめし
■たいめしとは
たいめしは、愛媛県の郷土料理です。愛媛県はタイの産地で、特に、タイの旬(しゅん)の季節の春にとれるタイは「さくらだい」と呼ばれています。たいめしの発祥(はっしょう)の地は、愛媛県宇和島市とされています。たいめしは、地域によって2つの種類があり、南予地方ではたいのさしみをご飯の上に乗せしょうゆをかけたもののことを、東予・中予地方ではたいのたきこみご飯のことを、たいめしと呼びます。
■弓削小学校の給食で作られるたいめし
弓削島は、愛媛県の東予地方にあるので、たきこみご飯タイプのたいめしが作られています。ぼくが通っている弓削小学校では、給食でたいめしが出ることがあります。2016年から2019年まで、小学校の給食のメニューを考えていたバード理衣(りえ)先生に、給食のたいめしについてお聞きしました。バード先生がいらっしゃったころは、弓削小学校では、タイがおいしい5月と、郷土料理に親しむ「給食週間」がある1月に、たいめしが出されていました。給食でたいめしを作る時に使うタイは、弓削島と同じ上島町にある、岩城島で養しょくしているタイを3枚おろしにしたものを仕入れていたそうです。全校児童約100人分を作るのに、約3㎏のタイを使います。
バード先生に給食で出すたいめしの作り方を教えていただきました。まず、お米を洗います。次に、人参を千切りにして「松山あげ」という油あげをくだきます。タイはくさみをとるために、調理する前に湯通ししておきます。タイのうまみをより出せるように、タイのあらでだしをとっておきます。次に、お米といっしょに人参、松山あげ、だし、こんぶ、調味料を入れ、上に生のままタイを置いてたきます。入れる調味料はしょう油、お酒、塩です。たきあがったら、タイを取り出し、ほぐして身だけもどして完成です。その時、身に骨が混ざっていないかしっかりチェックします。
■弓削島の家庭で作られるたいめし
ぼくは、たいめしの作り方や使う調味料について、30代から60代の4人の保護者の方々にアンケートを取りました。アンケートの結果、ほとんどの家庭で、しょう油と酒を入れることが分かりました。また、タイのくさみを取るために、どの家庭でも工夫をしていることも分かりました。例えば、お湯をかけて湯通しをしたり、しょうがをいれたり、ごぼうを入れたりすることです。ごぼうはくさみを取るだけでなく、よい香りがするのでおすすめだそうです。使うだしも家庭によってちがいました。例えば、だしこんぶ、だしの素、タイのアラで取っただしなどがありました。
また、タイの入れ方についても、できるだけ手間をはぶいてだしを取るために、生のたいを入れてそのままたく家庭と、においが付かないよう別に焼いたものを乗せる家庭がありました。また、頭がついたままたく家庭もあれば、頭はのぞいてその頭を使ってだしを取り、身だけ入れる家庭もありました。
アンケートを取って、たいめしには家庭によって色々な作り方があって、みんながおいしく食べられるように、工夫していることが分かりました。
(イラスト:たいめし)
【取材協力】
上島町立弓削小学校 栄養教諭
バード 理衣(ばーど・りえ)さん
【調査・文章・イラスト】
2020年度弓削小学校6年生