消波ブロック

■消波ブロックとは
 「消波(しょうは)ブロック」とは、水際の護岸(ごがん)や、津波(つなみ)や高潮(たかしお)から町を守るために置かれるものです。前方に島などがなく、東、西、南の風が強くふく場所に置かれています。また、人々の財産である、家や建物がある所の前に設置されます。高潮や津波に、壁ではなくなぜブロックがよいかと言うと、ブロックのすきまで、波を吸収できるからです。

■消波ブロックの歴史
 消波ブロックは第二次世界大戦後の1949年に、フランスで使われ始められました。日本では、1958年に初めて作られました。技研工業による六脚(ろっきゃく)ブロックが国内の消波ブロックの第一号です。それから消波ブロックは、日本中で使われ始めました。

■消波ブロックの作り方 
 消波ブロックはコンクリートでできています。このコンクリートは50年~100年もつので、上島町では作ってから今まで、交かんしたことはないそうです。

 消波ブロックの作り方を説明します。まず、コンクリートを消波ブロックの型に入れて、1週間くらい置いておきます。それから型を外し、さらにもう約3週間置いて、仕上げをします。小さい消波ブロックで3人、大きい消波ブロックだと4人で作業を行います。

■海への設置 
 できあがった消波ブロックを海上に設置するのには、6人必要です。かんとくが1人、クレーンの運転手が1人、ワイヤーをかける人が2人、ブロックを置くのが2人です。運転手が1つずつしんちょうに積んでいきます。そのあと場所を調整しながら、人の手で置いていきます。1つ積み上げるのに10分ほどかかるそうです。潮が満ちている時には、海の中にもぐって作業する場合もあります。

■消波ブロックの形
 消波ブロックの形は、4つに分けられます。

(1)立体型
 一番よく見る形です。代表的なかたちに、「テトラポッド」があります。テトラポッドのテトラはギリシャ語で4つを意味し、ポッドは細長い形状のことを意味します。立体型はその他に28種類あります。
(写真:テトラポッド 提供:上島町)

(2)平型
 平型は、36種類もあります。平型はあまりぼこぼこしていません。三角形や四角形が多いです。

(3)階段型
 階段型は、18種類あります。
 
(4)函塊(はこかい)型で
 函塊型はマンションのような形が多いので、めずらしいです。

 消波ブロックの重さは、小さい物で500キログラム、大きい物だと象をこえる10トン以上になります。高知県には日本最大級の全長5メートル、重さ80トンの消波ブロックがあるそうです。

■上島町の消波ブロック
 上島町で消波ブロックが作られ始めたのは1965年ごろのことです。毎年起きる台風や高潮のひ害を防ぐため、家がある所や道路の近くから、順番に作られていきました。置かれている形はほぼ立体型だそうです。

 上島町に設置されている、とくしゅな消波ブロックをしょうかいします。生名島には、立石港から生名橋に向かうと中に、護岸にそって積まれている「直立消波ブロック(トライアン型)」があります。よく見られる消波ブロックのように海の中になく、かべのようにはりついています。
(写真:直立消波ブロック(トライアン型) 提供:上島町)

 上島町役場生名支所の近くには、海岸からまるで階段のようにつまれた「緩傾斜(かんけいしゃ)ブロック」があります。また、波間田(はかんだ)地区には、潮(しお)が満ちている時には海にしずんで見えない「潜堤(せんてい)」があります。どちらも景観に配りょして作られているそうです。

 弓削島には、コンクリートではなく自然石で作られた消波ブロックが久司浦地区の海岸や、下弓削地区の浜都(はもと)海岸にあります。この消波ブロックも景観に配りょして作られています。自然石はコンクリートとはちがって、ひとつひとつかたちがちがうので、経験や知識のある職人でないとつむことができず、作るのにとても手間がかかるそうです。また、ブロックや石ではありませんが、下弓削の松原海岸は島外から砂を運んで作られています。砂も波のエネルギーを吸いこみ、台風などのひ害を防ぎます。

(写真:浜都海岸の消波ブロック)

(写真:久司浦海岸の消波ブロック)

 ぼくは、消波ブロックは、町の人を守る上でとても大事なことが、改めて分かりました。

【取材協力】
上島町役場建設課
荒井 健(あらい・たけし)さん
村上 慶(むらかみ・けい)さん

【資料協力】
上島町役場
有限会社小川工務店

【調査・文章・写真】
2020年度弓削小学校6年生

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