岩城橋のひみつ

■上島町の4島をつなぐ「ゆめしま海道」
 岩城橋は、生名島と岩城島を結ぶ橋です。2013年に作業が始まり、2021年度末に開通予定です。大きさは、長さ735メートル、高さ137.5メートルあり、完成したら上島町で一番大きな橋になります。車道は5.5メートル(2.75メートルずつ)、路かたが2メートル(左右に1メートルずつ)です。

 上島町には他にも、弓削島と佐島を結ぶ弓削大橋(1996年3月完成、長さ325メートル、高さ58.5メートル)と佐島と生名島を結ぶ生名橋(2011年2月完成、長さ515メートル、高さ99.1メートル)があります。岩城橋ができると、弓削島、佐島、生名島、岩城島の4島がつながります。この4島をつなぐ道を「ゆめしま海道」といいます。

 なぜ岩城橋をつくったかというと、弓削島、佐島、生名島、岩城島は、上島町という1つの町なので、行き来ができるようにした方が便利だからです。例えば、消防署(しょうぼうしょ)は弓削島にしかないので、橋をかけることで救急車や消防車が岩城にも行けるようになり、岩城に住む人も安心してくらせるようになります。また、サイクリングや観光で来る人にももっと楽しんでもらえるようになります。


(動画:建設中の岩城橋 2021年6月30日ドローンによる撮影)

■橋の種類
 橋には様々な種類があります。例えば、けた橋、アーチ橋、トラス橋、斜張橋(しゃちょうきょう)、つり橋などです。どのような形にするかは、長さによって変わります。ふつうは橋が長くなるほど、後の種類の橋になるそうです。長い橋は、つり橋になることが多いそうです。

 岩城橋は、斜張橋(しゃちょうきょう)という種類の橋です。ななめに張ったケーブルで橋を支えています。ゆめしま海道の橋は、すべて斜張橋です。岩城橋は、橋の塔(とう)の間の長さが日本で7番目に長い斜張橋になります(2021年8月現在)。日本で1番長い斜張橋は、広島県・生口島と愛媛県・大三島を結ぶ多々羅大橋(たたらおおはし)です。

 岩城橋が大きい理由は、2つあります。1つ目は、岩城の造船所で作った船が通るからです。2つ目は、生名島と岩城島のきょりが長いからです。

■岩城橋の材料
 岩城橋は、鉄とコンクリートでできています。

 主塔(しゅとう/橋の柱)は、コンクリートでできています。岩城橋の137.5メートルの主塔は、コンクリートでできている主塔としては、日本一高いそうです(2021年8月現在)。コンクリートの中には、鉄筋(鉄の棒)が入っています。鉄筋には、いろいろな太さがあります。また、サビ止めのために塗装(とそう)することもあるので、色つきのものもあります。ぼくが見たのは、水色でした。(写真:建設中の主塔(岩城側))

 橋のケタ(車や人がわたる部分)は、橋の両端(りょうはし)はコンクリートで、橋の真ん中は鉄でできています。橋を横からよく見ると、色のちがいで、鉄とコンクリートの境目(さかいめ)がわかります。生名橋のケタもコンクリートと鉄でできていますが、弓削大橋は鉄だけでできています。ゆめしま海道をわたる時には、見くらべてみてください。(写真:橋けたの切りかえ部分 左側:鉄、右側:コンクリート)

 橋のケタは、ブロックがつながってできています。このブロックは、どこから運ばれて来たのでしょうか。生名側のブロックは千葉県から、岩城側のブロックは長崎県から船で運ばれて来たそうです(生名側と岩城側でつくっている会社がちがうため、ちがいがあります)。遠くからやってきたブロックが1つ1つつながって、大きな橋になっています。最後のブロックは、2021年6月19日につり上げられました。

 橋をつるケーブルは、鉄でできています。7本の細い鉄の棒をねじって1本の中くらいの太さの棒をつくり、その棒を31本合わせて(19本や24本の場合もある)、プラスチックで包んだものが1本のケーブルになります。岩城橋全体で、120本のケーブルが使われています。(写真:ケーブルのもけい)

■岩城橋をつくっている人
 岩城橋は、全国で活やくする大企業(きぎょう)や上島町や今治市の会社など、たくさんの会社の人の協力によってつくられました。8年間の工事で、作業員は約100人だそうです。愛媛や広島、そして東京など全国から橋をつくる専門の人が集まって働いてくれたそうです。

 仕事の内容について、現場かんとくの方にお話を聞きました。仕事の時間は、だいたい朝8時から夕方5時までだそうです。働いていて大変なことは、高い所での作業なので、ケガをしないように気をつけることと、夏は暑くて冬は寒いことだとおっしゃっていました。一方、やりがいは、橋がかかって地元の人が喜んでくれることだそうです。

 ぼくも、建設中の現場に行かせてもらいました。暑い中たくさんの人が橋を作るためにがんばっていてすごいなと思いました。

■岩城橋のひみつ
・主塔と橋ゲタの中は、空どうになっていて入ることができます。コンクリートにひび割れがないかなど、中を点検するためです。

・岩城橋に車は何台乗れるでしょうか。もし1列にならぶとしたら、1車線に160台の普通(ふつう)自動車がならぶことができます。また、重さとしては1200台乗ってもだいじょうぶです。小学6年生だとしたら、41,000人も乗ることができるそうです。

・岩城橋をつくるには約180億円のお金がかかったそうです。これは、上島町民全員に1人50台ずつ、任天堂スイッチがあげれるぐらいのお金だそうです。

・上島町に橋をつくるために、愛媛県東予地方局今治土木事務所には「上島架橋(かきょう)建設課」というチームがあり、上島町のために働いてくださっています。(写真:橋をつくってくれたみなさん)
(写真:生名小学校取材班)

 岩城橋見学はとても貴重な体験でした。ぼくも夢に向かってがんばりたいです。

【取材協力】
愛媛県東予地方局今治土木事務所 上島架橋建設課
三井住友建設・三井住友建設鉄構エンジニアリング・昭和コンクリート工業共同企業体
有限会社大池工務店

【調査・文章・写真・ドローン動画撮影】
2021年度生名小学校6年生

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