メンヒル(立石)
■神さまの石、メンヒル
メンヒルは、生名島の三秀園(さんしゅうえん)という庭園に立つ、とても大きな石です。弥生(やよい)時代から、神さまとして大切にされてきたと言われています。
(動画:上からみたメンヒル ドローン撮影)
三秀園をつくるときに根本からうめ立てられ、今見える部分は約4メートルですが、うまっている部分もふくめると全体で約7メートルもあるそうです。三秀園ができる前、明治ごろは波ぎわに立っていたそうです。
メンヒルには、こんな言い伝えがあります。「別の島から運ばれてきた」、「山の上の方から落ちてきた」、「メンヒルは、人間の力で立てたものではない」などです。でも、本当のことはわかっていません。
■三秀園と麻生イト
メンヒルが立つ三秀園は、立石山のふもとにある庭園です。三秀園を作ったのは、麻生イト(あそう・いと)さんという方です。イトさんは、最初、因島で、古くなった船の解体の仕事を始めました。その他にも、旅館の経営もしていました。また、成功して手にしたお金で、因島に排水溝(はいすいこう)を整備したり、土生幼稚園(ようちえん)を開設したりして、地域のためにこうけんしたそうです。
三秀園を作り始めたのは、1926(大正14)年ごろだそうです。昔はこの一角にイトさんの別そうもあり、イトさんが晩年(人生の終わりの時期)を過ごしていました。三秀園の池は海とつながり、ボラやチヌなど海の魚が泳ぎ、水族館のようだったそうです。また、三秀園の前は、立石港まで白浜(しらはま)だったそうです。他にも、年に1度の観音さんの大祭(たいさい)では、出店が出たり、他の島からも人が来たりして、今よりもずっとにぎやかだったそうです。
■立石観音保存会の活動
現在、三秀園やメンヒル、立石山の観音堂を守っているのは、立石観音保存会のみなさんです。今は、男性8人、女性6人の人が参加しています。保存会では、立石観音大祭のお手伝い(4月)、草かりや清そう(年3〜4回)、しめ縄作り(12月)などをしているそうです。
12月のしめ縄作りでは、メンヒルに張ってある大きなしめ縄を取りかえます。しめ縄の長さは、12m70cmだそうです。そのしめ縄の作り方を教えてもらいました。
1 岩城の農家さんからわらをこうにゅうする。
2 わらそぎ作業をする。(はかまを外して、しんだけにすること。)
3 わらを一にぎりの束にする。
4 ワイヤーをしんにして3つの束を3人が特ってねじりながらあんでいく。
このようにして、しめ縄を作っているそうです。すべて手作業でしていてすごいなと思いました。(写真:生名小学校メンヒル取材チーム)
取材に協力してくださった保存会の寺下満憲さんに、なぜ保存会の活動をしているのかお聞きしたところ、「生名の文化を引きつぐために参加し、活動をしている」と教えてくださりました。私も生名の文化を大切にしたいと思いました。
【取材協力】
立石観音保存会 寺下 満憲(てらした みつのり)さん
【参考文献】
生名村誌編纂委員会編『生名村誌』、生名村、2004年
【調査・文章・写真・ドローン動画撮影】
2021年度生名小学校6年生
※2017年度版メンヒルのページへはこちらから → 2017年度版